彷徨う私は闇夜の花に囚われて
2.花に埋もれる

変化の季節




冬はあっという間に過ぎ去り、ようやく気温が安定してきた4月上旬。


先日の雨でピンクの衣をごっそり剥がされてしまった桜の木を横目に、私は少し躊躇いながら学校の敷地へと足を踏み入れた。


新高校2年生。向かう先は一つで。


「―――美紅ちゃん!おっはよー!」


クラスの名簿が張り出されている掲示板の前。


人だかりの中から元気いっぱいの声が聞こえた。


きょろきょろと声がした方を探すと、ぶんぶんと大きく手を振るすみれちゃんがいて……いつもよりも笑顔が輝いている。


それを目に、私の中で一つの嬉しい予感が浮かび上がった。


「すみれちゃん、おはよう。クラスの名簿、見た?」

「もちろん!」

「見てからその反応ってことは……」

「うん!同じクラスだよ!!やったね!!」


より一層瞳を輝かせ、私に抱き着くすみれちゃん。


期待通りの返答に、人見知りの私も安堵の息をついた。


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