彷徨う私は闇夜の花に囚われて



すみれちゃんの揺れるツインテールが私の頬をくすぐり、そのくすぐったさに笑みを零す余裕が生まれる。


「よかった。ドキドキして昨日の夜あんまり寝られなかったの」

「知ってるよ~。眠れないからって遅くまで配信してたもんね!しっかりばっちり聞いてました!」


おどけて敬礼のポーズをとるすみれちゃん。


その姿はとっても可愛くて、近くを通る新入生たちの視線を奪っているのが肌でわかった。


さすがすみれちゃん。新学期早々、モテている。凄い。


本人は不機嫌そうな顔をしていて、


「美紅ちゃん、早く教室に行こう。美紅ちゃんが減っちゃう」


なんてよくわからないことを言いながら強引に私の手を引いたけど。


すみれちゃんは私のお守りばかりで男の子に目を向けたことがない。


そんなの、もったいないよね……?


すみれちゃんに熱烈な視線を送る男の子たちの中に、運命の人がいるかもしれないのに。


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