彷徨う私は闇夜の花に囚われて
「昨日だけに限らず最近楽しそうだもんね。日曜日だって私とのデートを断って、ネットの人とグループ通話をしてたんでしょ?」
「ご、ごめんね。でもそれは今週末に行こうって話に……」
「そういう話じゃない!美紅ちゃんが私を一番に優先してくれなかったのが問題なの!!」
すみれちゃんは人目もはばからずに声を荒げる。
集まりたてで未完成の教室はただでさえ静かなもの。
そこに大声が響き渡り私たちは教室にあるほとんどの視線を浴びることになった。
こそこそとささやかなざわめきが広がっていく。
「……先に約束してたから」
ここでひたすら謝っていたら、ちょっとは機嫌も戻ったのかもしれない。
だけど、私の口から出たのは反論の言葉で。
小さな呟きを耳にしたすみれちゃんは顔をさらに歪めた。
確かにすみれちゃんは心配になるくらいに私を最優先にしてくれている。
それは私にとってありがたいこと。でも、だからと言って私にも同じようにしてほしいってのは違う、よね……?