彷徨う私は闇夜の花に囚われて
私が紅バラさんとツバキくんの立場だったら、蔑ろにされたって思うし……私はどっちも大事だから平等に接したい。
そう思っているのに、
「ねぇ、そんなに紅バラさんが好きなの?」
……私の思いも虚しく、届かない。
私に向けられる怒りは大きくて、押しつぶされそうで怖くて。
すみれちゃんとまともに目を合わせられない。
もしも、この前のような殺意を含んだ瞳をしていたら……?
奥底にしまっていた記憶が掘り起こされ、視線が逃げるように下へと落ちていく。
それがまたすみれちゃんの怒りを煽ったらしく、周囲の温度が冷えていくのがわかった。
「……それともツバキくん?男の子が苦手になったって嘘だった?」
「ち、違……」
嘘じゃない。私がすみれちゃんに嘘をつくわけがない。
本当に樹くんと別れてからは男の子という生き物がわからなくなった。
だけど、紅バラさんとツバキくんは特別で、大丈夫で。
私を救ってくれるいい人たちで……