彷徨う私は闇夜の花に囚われて
「だ、大丈夫!ぼーっとしていてごめんね」
「謝らないでください。僕の方が謝るべきというか……こういうの、迷惑でしたよね」
「えーっと、迷惑よりも混乱してる、かな」
すみれちゃんのことが気になっていたんじゃ……。
あっ、すみれちゃんと仲がいい私からいろんな情報を秘密裏に入手したい、とか?
はたまた、まずは私と仲良くなってからすみれちゃんに近づこうってこと?
後輩くんは可愛い顔をしてずる賢いタイプ……?
どれも初対面の相手に簡単に聞けるものじゃないから、後輩くんが話してくれるまで待つしかないよね。
―――じー。
俯いた後輩くんに強い視線を向けて待っていると、後輩くんはじわじわと顔を赤く染め、両手で顔を覆った。
あれ、春の陽気に当てられて暑くなっちゃったのかな……?
確かにぽかぽかでちょっと暑いくらいだよね。
「そ、そんなに見つめないでください……」
「えっ、ごめんなさい」
手の隙間から放たれる非難に、私は反射的に謝る。
見ていただけで咎められる理由はわかっていないけれど……。