彷徨う私は闇夜の花に囚われて
陰で努力をしている人。
自分を高め上げるために努力を惜しまない人。
努力している自分に酔わない人。
自分には持ち合わせていないストイックで大人びた精神に憧れ、そして惹かれた。
恋とはなにかわからなかった私でも自覚するほどの強い想いだった。
それから季節が移り変わって新学期。
樹くんと同じクラスになれて内心喜んだのは初めてのことで。
樹くんが登校してくるのが待ち遠しい朝。
先生の声に集中できない午前の授業。
好きなものは最後に食べる派だって知った給食の時間。
友達に誘われて気だるげにサッカーをしているのを遠くから眺める昼休み。
クラスのほとんどが睡眠学習に入る中で、しっかりと起きて集中している樹くんに惚れ直す午後の授業。
今日の樹くんを知る時間は終わりだと強制終了させられるSHR。
一日が濃密で、しかしあっという間で。
もっと堪能していたいと思うのに、叶わない。
ただでさえ嫌いだった土日祝が、余計に不必要なものだと思えた。