彷徨う私は闇夜の花に囚われて
多く浮かぶ疑問を消化しきれずに混乱していると、
『嫌?』
樹くんは私の中の奥深くまで覗き込もうとするように、私と視線を合わせた。
……嫌なわけがない。
気を抜いたら今すぐに言葉を撤回されるかも、なんて不安になる気味の悪い笑みが零れそうなくらい嬉しい。
さすがに好きじゃない子にそういう提案はしない、よね……?
いくら恋愛事に興味がある時期とは言っても、樹くんは軽い人じゃなさそうだし……。
私と同じ気持ちだって思ってもいいのかな?
『私でいいの……?』
『ダメだったらこんなこと言わない』
最終確認をとる私に即答する樹くん。
若干、顔をしかめたように見えたのは私の願望かもしれないね。
”俺の気持ちを疑ってるの?”的な。
私に信じてもらえなくて拗ねてるのかな?みたいな。
『好きって言って』なんて欲張り過ぎだと思ったから、私はその不機嫌そうな顔だけで自分を納得させた。