彷徨う私は闇夜の花に囚われて



わかってるよ。勘違いはしないよ。


でも、だからこそ行動原理がわからなくて。


いちいち樹くんの想いを気にしてしまう自分の揺らぎが許せなくて。


「邪魔しないで」


あえて尖った言葉を使い、八つ当たりじみた怒りをぶつけた。


さりげなく車道を歩いてくれていた樹くんの表情が、街灯の灯りに照らされて私の目に映る。


それは昔、自分の部屋の鏡に映った私と同じ顔。


傷つけられて、どうしようもなくて、もどかしい。


苦しめられた側の顔だった。


……どうして樹くんが被害者面をするの?


長い間、あの頃に囚われ続けているのは私の方なのに、なんで……?


私に自分の吐き出した言葉を後悔させないで……!!


「ごめん。身体が勝手に動いた」


言葉を重ねようとしたとき、樹くんの声が切なく響いて。


なににも触れられていないのに、見えないなにかに口を覆われた気がした。


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