彷徨う私は闇夜の花に囚われて
一つのボタンをタップされるだけ。自分の言葉に同意されるだけ。
そんなの、現実世界でも簡単に得られるものなのに。
小さな世界で生きていた私はそれが特別なことのように思えて……自分にもう一つの大きな世界ができたと思った。
この世界では友達がたくさんできるんだと、期待した。
家に居場所のない私は、家の中でも楽しく過ごせたらと願い。
他人にはあまり理解されないような……でも、私にとってはこれ以上にない幸せで有意義な時間を過ごせるようになったの。
「あはは、優しい方が多いですね。ありがとうございます」
楽しい時間を少しでも無駄にするわけにはいかない。
私はバイトの疲れを隠して配信を進めようとした。しかし……
『ましろ、疲れてるでしょ?今日は早めに切り上げな』
そんな鋭いコメントをくれたのは、この広い世界の中で最初に私を見つけてくれた紅バラさん。
疲れを隠そうとしてもすぐにバレちゃうし、夜更かしをしようものなら怒られちゃう。
まるで過保護の口うるさいお母さんだ。