彷徨う私は闇夜の花に囚われて
なぜか小さくなる紅バラさんの声。
その理由を考える余裕が私にはなくて、別のことを脳内処理するので忙しい。
紅バラさんは甘い声でなんて言った?
支えたい?一番に?誰を?
……。
…………私?
「えっと……紅バラさんって本当に優しい人ですよね」
危ない危ない。
紅バラさんが意味深なことを言うから、一瞬だけ勘違いをしそうになってしまった……。
紅バラさんは全力で人を思いやれる人で、だからこそ“一番に”なんて特別な言葉をくれただけ。
その言葉の中に深い意味はない。
いちいち動揺してたら紅バラさんに失礼だ。
ドキドキしちゃダメ。勘違いした心臓さん、早く治まって……。
「俺はましろにしか優しくしないから、優しい人ってわけじゃないよ」
「そっ、そうなんですね」
私と接するときの紅バラさんは決まって優しい。
だから、全然気づかなかった。
でも、よく考えてみれば確かにツバキくんやリスナーさんに対して優しくしているところを見たことない気もする。
それどころか、警戒するように厳しくしているような。
……じゃあ、紅バラさんはどうして私に優しくしてくれるの?