彷徨う私は闇夜の花に囚われて



「……デートとかしてたんじゃなかったの?」


「してましたけど……話をしてても彼がうわの空だったり、視線が合わなかったりで嫌われたのかなってマイナスな方にばかり考えてしまって。付き合って半年を過ぎた頃、彼と彼の友達が教室で私の話をしてるのを偶然聞いてしまったんです」



その日、クラス委員だった樹くんは担任の先生に雑用を頼まれていて。


待ってなくていいと言われた私は迷った末に靴箱で待つことにした。一緒に帰りたいなって思ったから。


でも、30分くらい経ってから簡単な雑用だったら自分も手伝えば早く終わることに気づいて、教室に行くことにしたんだ。


人気のなくなった廊下を歩いて一つ手前の教室前にきたとき、樹くんの手伝いをしていたらしい友達が、


『そういえば、彼女と―――』


と、樹くんに話しかけたから私はぴたっと足を止めた。


それから二人が交わしていた会話は、今でも一言一句間違えずに脳内で再生できる。


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