彷徨う私は闇夜の花に囚われて
それから私たちはしばらくご無沙汰になっていた行きつけのカフェに入った。
入口から遠く離れた席に案内され、4人掛けの席に向かい合って座る。
私は気温の高い季節向けの限定メニューを眺め、迷いに迷って。
さっぱりしてそうなレモンクリームのケーキにしようかな。
それとも、甘夏みかんが乗ったジュレの方が甘酸っぱくて美味しいかな。
視線があっちへ行ったりこっちへ行ったり。
優柔不断な私を、文句の一つも零さずに待ってくれるすみれちゃん。
うーんうんと、唸った末に決めたジュレをすみれちゃんが注文してくれている間、テーブルに置かれた冷たい水を口に含んだ。
話したいことがたくさんあるから、その準備。
大好きなユニットの新曲の話とか、一人で開拓した美味しいスイーツ屋さんの話とか。
……樹くんのこととか紅バラさんのこととか。
聞いて欲しい話がいっぱいあるんだよ……すみれちゃん。