冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「そうね。すべて話すわ」

 過去をたどるようにゆっくりと話し出した小夜子の声に耳をかたむけながら、晴臣は苦笑を漏らす。

(やっぱり俺は蝶子のヒーローにはなれないな)

 ヒーローに不可欠な正義も優しさも自身には欠けていることを晴臣は自覚している。むしろ、蝶子を幸せにするためなら晴臣はなんの迷いもなく悪に手を染めるだろう。

***

 
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