冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
終章
表参道のけやき並木は赤や黄色に色づきはじめ、一年でもっとも美しい季節を迎えようとしている。秋の空は高く澄み渡り、心地よい風が吹く。そのけやき並木を抜け南青山方面へと向かう途中にある小さな教会で、今日、蝶子と晴臣は結婚式をあげる。
妊娠七か月になった蝶子はエンパイアラインのふわりとしたウェディングドレスに身を包んでいる。髪は緩く三つ編みにしてサイドに垂らし、白いバラの花冠を頭にのせた。クラシックな赤いビロード張りのソファに腰かけて、ずいぶんと大きくなったお腹に声をかける。
「今日はね、結婚式なんだよ。晴臣さんと私の……」
言葉にするだけで、顔がにやける。憧れだった結婚式を、大好きな晴臣と迎えることができる幸福感に蝶子は酔いしれた。ドレスも料理も招待客も、晴臣は蝶子の希望をすべて叶えてくれた。蝶子の夢が詰まった特別な一日が、今まさに始まろうとしているところなのだ。
「はぁ~。幸せすぎて怖いくらい」
蝶子が天井を見あげてつぶやくと、新婦控室の扉がノックされ外からスタッフの声が届いた。
「ご新婦さま。お母さま方がお見えですが、お通ししてもよろしいでしょうか」
「はい。もちろん!」
妊娠七か月になった蝶子はエンパイアラインのふわりとしたウェディングドレスに身を包んでいる。髪は緩く三つ編みにしてサイドに垂らし、白いバラの花冠を頭にのせた。クラシックな赤いビロード張りのソファに腰かけて、ずいぶんと大きくなったお腹に声をかける。
「今日はね、結婚式なんだよ。晴臣さんと私の……」
言葉にするだけで、顔がにやける。憧れだった結婚式を、大好きな晴臣と迎えることができる幸福感に蝶子は酔いしれた。ドレスも料理も招待客も、晴臣は蝶子の希望をすべて叶えてくれた。蝶子の夢が詰まった特別な一日が、今まさに始まろうとしているところなのだ。
「はぁ~。幸せすぎて怖いくらい」
蝶子が天井を見あげてつぶやくと、新婦控室の扉がノックされ外からスタッフの声が届いた。
「ご新婦さま。お母さま方がお見えですが、お通ししてもよろしいでしょうか」
「はい。もちろん!」