冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「俺がびしっと決めると、誰かさんがかすむから遠慮しようと思ったんだけどな」

 その沙良の言葉にかぶせるように晴臣も言い返す。

「杞憂もいいところだ。そんな無駄な時間の使い方ができるなんて、さすが売れっ子の先生は余裕があるな」

 バチバチとにらみ合うふたりに、蝶子はぷっと小さく噴き出した。

「なにがおかしい?」

 ふたりが声をそろえて同じ台詞を口にする。蝶子はコロコロと笑って続ける。

「だって、なんだかすごく気が合っているから――」
「まったく合ってない!」

 またしてもふたりの声がぴったりと重なるものだから、蝶子の笑いは止まらない。

 カメラを手にした真琴が呼びかける。

「ねぇ、みんなで記念撮影しよう!」

 大好きなみんなに囲まれて、蝶子は心からの笑顔で写真におさまった。

 
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