冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「あっ……」

 画面に表示されている名前は七緒だった。蝶子は時々メッセージを送っていたが彼女からの返事はまったくなかったので、少しドキドキしながら通話ボタンを押す。

「七緒ちゃん?」
『うん。久しぶり、お姉ちゃん』

 七緒も久々の会話に緊張しているのか、少し声が硬い。

「どうしたの? なにか困ったことがあった?」

 晴臣は『お人好しがすぎる』と笑うが、蝶子にとって七緒はやっぱり妹で、彼女がどうしているかは気がかりだった。

『大丈夫。なにもないよ。その……』

 七緒はためらいがちに続ける。

『今日、結婚式だったんでしょ。おめでとう』

 照れているのか少しぶっきらぼうな口調だったが、蝶子はうれしくて自分でも驚くほど大きな声で答えた。

「ありがとう、七緒ちゃん!」
『う、うん……』
「七緒ちゃんはどう?」
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