冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「そういえば、月は男を獣に変えるんだったな」
「そんなっ」

 妖しく美しい満月のせいにして、晴臣はむさぼるように彼女の唇を堪能する。それだけでは飽き足らず、浴衣の胸元からするりと手をすべりこませ吸いつくような白肌の感触も確かめた。
 蝶子の敏感な場所を晴臣の指先がかるめると、蝶こはびくりと大きく背中をのけぞらせ甘く啼いた。それに気をよくした晴臣はキスをしながら、そこをぴんと弾いたり、きゅっとつまんだりして彼女の熱を高めていく。銀糸を引きながらゆっくりと唇を離すと、晴臣は彼女のとろけきった顔を見つめて低くささやく。

「続きが、したくなった?」

 彼女の頬がかっと染まる。羞恥に耐えかねるようなその表情が、晴臣の嗜虐心に火をつける。もっと、もっと、恥じらう姿を見たいと晴臣は意地悪な言葉で彼女を攻める。

「俺が欲しいと上手にねだれたら、続きをあげるよ」

 頬だけでなく、蝶子の耳も首筋を真っ赤に色づいていく。晴臣は彼女の耳の裏側を舌先でなぞり、やわやわと胸をもてあそぶ。彼女は浅く息を吐き、絶えだえになりながら答えてくれた。

「んっ。は、晴臣さんが……欲しい……です」

 その言葉に満足した晴臣は、ゆっくりと妖艶な笑みを浮かべる。

「部屋に戻ろうか」
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