冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「ゆうべはなんと言った? 君の口からもう一度聞きたい」

 蝶子は唇をかみ、ウルウルした瞳で彼をきっとにらみつける。

「は、晴臣さんは意地悪です!」

 すると、晴臣は破顔して腹を抱えた。完全におもしろがっている彼の姿に蝶子は怒り心頭だ。ぷいと彼に背を向け、背中で訴える。

「ひどいっ」

 それでもクスクスと楽しそうに笑いながら、彼は蝶子の背中を抱いた。

「でも、いじめたいと思うのは世界で君だけだ」

 晴臣は蝶子の浴衣の襟を抜いてうなじを大きく露出させると、そこに唇を寄せる。きつく吸いあげられると、蝶子の白い肌に赤い花が咲く。ゾクゾクと押し寄せる感覚にあらがいきれず、蝶子は甘く喘いだ。
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