約束の指にキスして。
『……。』

『もぉ、その顔弱いんだってアタシ~。』

アタシが泣きそうな顔すると、梓先輩は諦めてお兄ちゃんの方へと行った。
流石、高級旅館だけあって料理は物凄く豪華。

でも、アタシはあまり箸が進まなくて…でも食べちゃおう。
作ってくれた人に、失礼だもんね。

『瑛梨、卵くれー』

横から箸が伸びて、桔平がアタシのお膳から卵をとっていった。
そのよこから、また箸が伸びる。しかし途中で止まって、苛立った声が聞こえた。

『…なんでアンタいるんだよ。瑛梨の横、俺の席なんだけど。』

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