約束の指にキスして。
アタシの向かった先は……トイレ。旅館はやけに広くて、トイレを見つけるのに手間がかかった。

だけど、やっとみつけて、洗面器にしがみついた。

それで、ふいに鏡に写ったアタシが見えた。

鏡の中のアタシが見つめる。

出しちゃって良いの?
いい加減やめなくて良いの?

こんなこと繰り返してるから桔平や健司に心配かけるんじゃないの?

って。

そうかもしれない。
アタシはいい加減、吐くのを止めなきゃ。
こんなこと繰り返してちゃ、アタシいつか死んじゃうし。
いつまでも桔平と健司に心配かけちゃうし……。
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