約束の指にキスして。
『はぃ…タオルとドリンク。』

『………。』

二つを差し出しても、桔平は反応しなかった。
床に座り込んで、一点を見つめている。
桔平の眉間は険しくて、アタシは見えてないみたいだった。

不意に、手からタオルが消えて、桔平の頭にかかる。
それでも桔平は動かなくて、桔平にタオルをかけた張本人の健司はその横に腰をおろして、桔平と同じように黙りこくった。

アタシはお兄ちゃんのもとに走る。
お兄ちゃんは、ちょうどバスケットシューズの紐を締めている所だった。
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