約束の指にキスして。
匡ちゃんの鼓動が耳に聞こえる。
懐かしいな…。
昔もこんなふうに抱っこして貰った記憶あるな。

匡ちゃん……。





『……り』

『…』

『エリ、起きろ。とりあえず食え。』

目覚めると、いつの間にか旅館の自分の部屋に来ていた。
布団に寝かされたアタシは、匡ちゃんにおこされてゼリーを口に運ばれる。

促されるまま口を開くと、驚くほど素直に喉を通った。

今まで、なんかつっかかったみたいになかなかおちて行かなかったのに。

『うまい?』

『ぅん。』

匡ちゃんの笑顔につられ、また口を開く。

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