約束の指にキスして。
でも、またあたしは戻しちゃうのかな。
匡ちゃんが与えてくれる、食べ物さえも。
そんな事を考えて、いつも人の優しさを踏みにじってしまう自分に涙ぐむと、匡ちゃんがアタシの背中をさすった。

『大丈夫だから。吐かないよ。』
そう言われてまた食べさせてくれる匡ちゃんは、昔とかわらず優しかった。
匡ちゃんは、仏様みたいにアタシの心がおみとうしで、昔から少し困っちゃう。

だけど、だからこそアタシを支えてくれた人。

やがて中身がなくなると、匡ちゃんはアタシを寝かせて、横に寝転んだ。
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