約束の指にキスして。
また…
こんなはずじゃなかった。
もう、二人にこんな顔させなくないのに……。

『瑛梨~♪』

ふわりと頭を撫でられる。
手の方を振り替えると、自転車にのったお兄ちゃんの後部座席に匡ちゃんがいて、私に微笑んでいた。

『大丈夫だから、泣くな。な?』
『ぅん。匡ちゃ…』

『じゃあな~。お前等ちゃんと瑛梨の事警護しろよ~。』

止まったかとおもったら、すぐに行ってしまった。
あれ。
涙が止まってる。

匡ちゃんの『大丈夫』は魔法の言葉みたいだ……。
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