約束の指にキスして。
桔平の影がノートに落ちる。
桔平は計算式の隣に小さな絵を書いて、吹き出しを付け足した。

《数学は俺にまかせとけ!》

と。

小さな桔平の似顔絵は、桔平の天真爛漫さがにじみ出たよくにた可愛い絵だった。

『俺、数学だけは得意だから。』
そういって桔平は笑った。

『瑛梨。スペル間違いすぎ。英文法あってんのに…あと全体的に地理が弱い。理科と国語は問題ないかな。』

机に寄りかかった健司が机の上に広がった参考書を見ながら呟いた。
桔平はアタシのベッドに寝転ぶ。
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