約束の指にキスして。
もうずいぶん前から一緒だから分からないけど、女子から見たらきっと、追っかけをしたくなるほど女の子の理想に近い男の子なんだ。
健司は優しい。
冷たいけど優しい。
そう、私に言わせれば、『氷の王子様』。
かな。




『ただいま~♪良い湯だったぜ、健!!って.おっと…』

風呂上がり、瑛梨の部屋に戻ってみると瑛梨は寝ていた。
そっとドアをしめて、抜き足さしあしで忍び寄る。

瑛梨は小さな寝息をたてて眠っていた。
白い頬にほんのり赤いさしが入っている。
俺は、頬にかかっていた髪をよせてやりながら、瑛梨の頭の上にあった数学の参考書をみつけた。

瑛梨の横に、寄り添うように健司が眠っている。

健司の方は息をしていないかのように静かだ。
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