約束の指にキスして。
『苦しいの。』

アタシは桔平を突き放した。

『苦しいの、いっつも桔平達といっしょで。自由になりたかった。いい加減、もぅ良いじゃん。迷惑なんだょ。アタシ、司君と居たいときもあったし、話したいときもあった。あのね、アタシ………』

駄目。
ここは前を見なきゃ。
うつ向いちゃいけない。

涙なんか…絶対出しちゃいけない。

『アタシ、匡ちゃんが好きなの。匡ちゃんがアタシを守ってくれる。だから………もう、桔平と健司はいらない。邪魔なの。』


その時の、桔平の表情は一生忘れられないと思った。
あんなに人を傷つけたのは、コレが初めてだった。


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