約束の指にキスして。
あらんかぎりの物を、バッグに詰め込む。

三人のアルバム、日記、そして…
小さなアクセサリー箱の前で手が止まる。


この中には、桔平が毎年、アタシの誕生日とクリスマスに送ってくれた、指輪やネックレスの数々がつまっている。

もっていく?


いや、駄目。

でも…

その横に、今週末渡すはずだった、桔平の誕生日プレゼント。
もう、渡すことのできないモノ…

4時の時計が鳴る。
外からは車のクラクション。
アタシは、家を飛び出した。

今なら行ける。

あれだけ桔平を傷つけられた自分なら。


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