約束の指にキスして。
『空港までお願いします。』

バタン、とドアがしまる。
ゆっくりと、タクシーが動き出した。
本当は、ずっと前から考えていた。
二人のいない場所に行こうって。
今なら行けるよ。
桔平の為に、って思えるから…。

『ワンッ!ワンッ、ワンッ、ワンッ!』

犬の鳴き声。
マックスだ………。

『ちょっと、すみません止めてください!』


降りて、マックスに近づく。
マックスはアタシを見ると、駆け寄ってきてアタシの頬を舐めた。

『ゴメンね。マックスにお別れ言ってなかったね……。』

『キューン……』

マックスの背中を撫でる。
マックスの頭に鼻をよせると、かすかな桔平の匂い。
涙がこぼれる。

『??どうしたの?』

マックスが動き出す、アタシの服の裾をかじっている。
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