約束の指にキスして。
『ママ?』

『ちっちゃい時からママ達、瑛梨達の事置いてアメリカに来てたじゃない?時々会って、また離れて…こっちに帰るときの貴女の悲しそうな目、忘れられないわ。』

ママがアタシの頭を撫でる。
その時、キッペーがアタシの頬をペロリと舐めあげた。

ママが微かに笑う。

『大丈夫。貴女の大切なものは、きっとすぐに貴女の元へ来る。大丈夫よ、桔平君と貴女は。』

『だってママ…アタシ、桔平に邪魔だって言ったの。必要ない、一緒にいるのが苦しいって……』

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