約束の指にキスして。
『ただいま~♪瑛梨っ!』

ママが意気揚々、ダイニングキッチンに買い物袋を置くと、アタシのとこまで歩いてきて、ホッペにキスした。

『貴女は皆に愛されてるわね。ママ、嬉しいわ。』

そういって微笑むママの後ろから、影が現れる。
ママが私から離れると、目の前に立ちはだかるお兄ちゃんがアタシを見下ろしていた。

『お兄ちゃん…』

『お前はっ…』

お兄ちゃんの右手が振り上げられる。
たたかれる…

そう思って反射的に庇った頭を、お兄ちゃんの胸に引き寄せられた。

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