約束の指にキスして。
『ゴメンね、健司。』

『……』

体を回転させて、健司と向き合う。
健司は、目を細めて、私の前髪を鋤いた。

『なんで、急に消えた?』

『…それは……』

アタシが口ごもると、健司はアタシをギュッと抱きしめた。

『言わないと、絶対離さない。』

『健司…でも』

『怖かった。』

『え?』

『…怖かったんだよ。瑛梨と一生会えないんじゃないかと思って…』

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