約束の指にキスして。
思い出す度、息がつまるほど苦しくて…

『桔平、消えたんだよ。』

『…え?』

『お前がいなくなって一ヶ月後、桔平が消えたんだ。桔平のかーさん達は教えてくんねぇし、センこう達だって…』

健司が呟く。
声が震えてて、涙声で。

桔平が消えた?

そんなの…そんなのって。

『…そっか。桔平、アタシからやっと逃げれたんだね。』

『は?』

きっと…

嫌気がさしたんだ。
あんなこと言われて、やっと自由になれて。
きっと、桔平にはやりたいことがあって。
アタシから離れられた桔平は、やりたいことをやりにいった。

アタシから、離れられたから…

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