約束の指にキスして。
でも、言わずにいられなかった。

『馬鹿だな、お前は本当…』

『必要なら、健司にも言う。それで、アタシから離れてくれるなら。』

『…そんなの必要ない。』

健司の体重が、私達をベッドに倒れさせる。
健司はアタシを抱きしめたまま、アタシの涙を拭いた。

『だって…アタシ邪魔でしょ?すぐ泣くし、吐くし、ひとりじゃなにも出来なくて。二人がいなきゃ人間の当たり前の生活が1つも出来ない。アタシなんてめんどくさくて、うっとおしいじゃない…』


『俺達は…俺は、瑛梨を邪魔とか、めんどくさいとか、そんなの思ったことない。やりたいことを我慢した覚えも、制限された覚えもねぇよ。』

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