約束の指にキスして。
『諦めろケン。いくぞ。』

促すお兄ちゃんの言葉を振り切り、健司はアタシの耳元でささやいた。

『俺を1人にするの?桔平も瑛梨もいないなんて…俺はどうすればいい?』

健司の目がアタシに何かを訴える。

見たことの無い寂しげな健司の目は、ギュッとアタシの胸を締め付けた。

『お願いだから、そんな顔しないで…』


飛行機のアナウンスが流れる。
泣きそうなアタシの顔をみたお兄ちゃんと匡ちゃんが、健司を連れていく。
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