約束の指にキスして。
いつもなら

帰ってこいよ、
寂しいよ、

って言ってくる頃。

なのに、今日は違う…?


『桔平、そっちにいるかも知れない。』


スルリと、電話が手から抜け落ちる。

健司…今何て言ったの?

『アンッ!』

『!』

キッペーの声に、視線を奪われると、コトリと足元に落ちた小箱。
サンタクロース姿のキッペーが、満足げに微笑んでいた。

『これ、どうしたの??…どうしたのキッペー!?』

『クゥン?』

『キッペー。これ、いつも誰に頼まれてるの??ねぇ、キッペー…キッペー!!』


『瑛梨?えりーー。』

受話器から健司の声が漏れる。
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