約束の指にキスして。
どうして??

あんなに酷いこと言われて、まだアタシにプレゼントをくれるの?
まだ、アタシの側にいるの?

ねぇ…


桔平、会いたいよ…。



『桔平…きっぺぇ………。』

声が雪に吸い込まれていく。

好きなんだよ。
困るんだよ、こんなことされちゃ。
幸せでさえ居てくれれば良いって、そう思ってるのに。
願えなくなるよ…

『瑛梨?』

涙が雪に落ちて、落ちて、やがて小さな穴ができかけた時、優しい声が降ってきた。

その手は、アタシを優しく掴んで立たせてくれる。

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