約束の指にキスして。
『あ。また増えたね。みしてぇー!!』

小走りに隣に移ってきた百合ちゃんが、了解も得ずにアタシの胸元に手を突っ込んで指輪を取り出す。
アタシは、危うく飛び出しそうになったパンを飲み込んで、首からネックレスを外した。

『可愛いー!!ってか、これオリジナルじゃない??…ほら、これ。《wish.》って書いてある。あそこの店だよ?』

百合ちゃんが指をさす方向を見ると、白い二階建ての建物が、カフェのガラスを通して目に入った。
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