約束の指にキスして。
スッ、と桔平がアタシから離れた。
アタシの体が急に冷える。
桔平の笑顔が、切なげに歪んでいる。


『俺、さ。結婚するんだ。18歳の誕生日に。』

『…っ。』

『美人なんだぜ。金持ちだし、俺いきなり財閥の跡取り。すげぇだろ。』


桔平が笑う。

…分かってた。
レオさんに聞いてたもん。
桔平がもう、アタシとは別の道に進んでいること。

知らない女の子に、桔平が連れていかれる。

嫌だよ。

凄くいやだ。
< 368 / 526 >

この作品をシェア

pagetop