約束の指にキスして。
久しぶりの日々に、アタシは幸せを感じていた。
足りないものはある。
一つだけ…
でもそれは、もう埋まる事はない。
アタシは、小指にはまったピンキーリングを太陽にかざし、大きく息を吸い込んで、胸元の指輪を弾ませながら小走りに健司へ駆け寄った。

『日本はいーね、瑛梨。桜が綺麗だ。』

『!!』

急に腕を捕まれて、振り替える。
忘れもしない、シルバーヘアの長身男。

あの日から、度々アタシの前に姿を表していたが、まさか日本までくるとは…




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