約束の指にキスして。
『あの…』

戸惑うアタシを前に、レオさんは時計を見てからアタシに言った。

『そろそろ行くよ。日本には仕事があってきたんだ。』


ヒラヒラと、桜が綻ぶ、大学キャンパス。

ひとひら、袋の中に落ちる。

『瑛梨。時に遅すぎた、と言うことは無いよ。運命は変える事が出来る。君の手で。』

レオさんは、ヒラリと身をひるがえして、華麗に去っていった。


『どういうことだよ…?』

レオさんが行った後、健司が袋の中をのぞいて呟く。

アタシは、そっと手のひらに乗せて箱を開いてみた。

『これ…』

『マリッジリングじゃねぇか?』

細いシルバーリングがキラキラと光を放つ。
よく見ると、細かな繊細な模様が掘られていて…
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