約束の指にキスして。
『桔平だよ。これ作ったの…』

これは、桔平の答えだよね。
アタシと、将来アタシの隣に居るであろう人とのマリッジリング。
桔平はアリスさんと、一緒に生きるって事でしょう…?


溢れる涙をこらえきれずに下を向くと、健司がアタシの肩を擦りながらあっ、と声をあげた。

『なんかよくわかんねぇ………あ。これ、手紙じゃね?』

健司が、マリッジリングのケースの下から、薄い桃色の便箋を取り出した。

《瑛梨へ。》

桔平の字で、表に宛名がかいてある。
アタシ達は、近くにあるベンチに座って、中の手紙を取り出した。

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