約束の指にキスして。
『……捕まえた。』

息をきらした、背後の人影。
桜の匂いにのって鼻をくすぐる、懐かしい匂い。
間違いない。
この声は…。

『早いよ…』

『急いで来たんだ。一秒も無駄にしたくなくて……』

桔平がアタシのおでこにキスをする。
すると、横から桔平をどつく手があった。

『2年も失踪しといてノコノコ出てくんじゃねーよ馬鹿。』

健司が目を潤ませながら、桔平を見る。
桔平はニカッと笑うと、今度は健司に抱きついた。

『やめろっ…馬鹿っ!』

『健司ー!また一段と王子になりやがって!!変わったなー!』

『はなせっ…コノヤロ。』

『やだー♪』


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