約束の指にキスして。
『あはは…』

じゃれあう二人を見て、笑みが自然にこぼれる。
一度はアタシが壊した、この風景。
でもね…また見られたよ。

そして。
見られる期間は定められている。
悲しさと嬉しさが込み上げて、アタシは泣き笑いしてしまう。

良かった…

『瑛梨。』

アタシの涙を両脇で拭う桔平と健司。
二人はアタシの手をとった。

『もう離れんなよ。ばか瑛梨。』

『そーそ。お前は俺達の側で笑ってりゃそれでいーの。』

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