約束の指にキスして。
二人並んだところで、桔平は一瞬ギュッとアタシの手を握って離した。

そして、真剣な横顔。

アタシは、桔平が何を言い出すのか分からなくて、その横顔をドキドキしながら見つめていた。


『二人にお願いがあるんだ。』


桔平がきりだす。
二人は、手を止めて桔平を見る。

そして、食堂の空気も匂いも、一瞬だけ無くなった気がした。

『俺に瑛梨をください。』


テーブルの上にあった手を、桔平がギュッと握ってきた。
そのまま、桔平は深く頭をさげる。

突然の事に驚いている私を、二人はじっとみている。
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