約束の指にキスして。
桔平は、健司を見つめた。

『何も言わないで欲しい。お前には…悪いけど。』

桔平は立ち上がった。
私も立って、手を引かれるがままにあるく。

訳もわからず、ただ桔平の後を歩いていると、お兄ちゃんが桔平の腕を掴んだ。

『待てよ。』

いつも馬鹿ばっかりのお兄ちゃんが、真剣な顔であたし達を見上げる。

『お前…どうせ瑛梨の側から離れんだろう?別の奴と結婚すんだろう?また離れるとき、辛い思いすんのは瑛梨なんだぞ。』

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