約束の指にキスして。
お兄ちゃんは言った。

『瑛梨の気持ち…お前はちゃんとしってんのか?』

『…』

桔平は、アタシの顔を一瞬見て、そしてお兄ちゃんに向き直った。

『一生分幸せにしてみせる。次離れる時も、笑顔で別れられるくらいに。世界一幸せに。』

そういって、桔平は少し切なそうな笑顔で笑った。

『っつーことで。半年、瑛梨は僕がもらう。半年間、夫婦にさせてほしいんだ。』

『桔平…』

『瑛梨。』

『え?』

『お前、半年後泣かないって約束できるか?傷つかないって保証はあるのか?兄ちゃんはお前が悲しむのだけは避けたい。』

『お兄ちゃん…』
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