約束の指にキスして。
『じゃ、新居でも探しに行くか。』

『しっ新居!?一緒に暮らすの?』

『当たり前だろ?夫婦なんだから(笑)』

お兄ちゃんをチラリと見ると、お兄ちゃんは大きな手であたしの頭を撫でた。

『行ってこい。』

私は頷いて、桔平の手を握り返す。
『行くか!』

『ぅんっ!』

歩き出した時だった。
私をひきとめる手が、左腕をつかんだ。

『!?』

『瑛梨………』

健司は、私をじっと見つめていた。
すがるような目で。

いつもの強気な健司はいなくて…。
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