約束の指にキスして。
『瑛梨。』

桔平に引っ張られて、その手はスルリと簡単に抜けた。

アタシは、健司の目に多少の違和感を覚えながら、桔平の後を歩いた。


『…んだょアイツラ…いつの間に……』

『止めなくて良かったのか?』

お兄ちゃんが健司の頭をぐしゃりとやる。

『とめられるかよ。あんな…幸せな顔。』


健司は、地べたにしゃがみこんで、ショックを隠しきれずに前だけを見つめていた。

『飲みに行くか?』

『…まだ未成年だよ。』

『そうだった(笑)』

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