約束の指にキスして。
立ちすくむ私の足元で、キッペーとエリが鼻を鳴らして私を見上げる。

『ずっと…一番近くで。……ずっと側で…』


涙が込み上げてきて、二人に背を向ける。

半年後。
思わず想像してしまった。

健司しかいないバスケコート。
転がるボール。

見つめる私のとなりにはもう桔平はいなくて…。

キッペーの隣にもエリはいなくて。


『瑛梨…』

『ごめっ…ごめんなさい…ゴメンね?』

言ってる側から、また涙、涙、涙………
泣きたくないのに。
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